症状から知る2026-03-09Carelogy編集部

猫伝染性腹膜炎(FIP):最新治療・症状・予防の完全ガイド

猫のFIP(猫伝染性腹膜炎)の症状、ウェットタイプ・ドライタイプの違い、最新の抗ウイルス治療薬(GS-441524)についてわかりやすく解説します。

猫の健康チェック
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結論:FIPは「治療できる時代」に変わりつつある

かつて不治の病とされたFIP(猫伝染性腹膜炎)ですが、抗ウイルス薬GS-441524の登場で治療が可能になってきています。早期発見・早期治療が極めて重要で、発症後の治療開始が早いほど寛解率が高くなります。若い猫(2歳未満)に多い病気で、多頭飼い環境ではリスクが上がります。

FIPの2つのタイプと症状

ウェットタイプ(滲出型): 腹部や胸腔に液体が溜まります。お腹が膨らむ呼吸が苦しそう・食欲低下・発熱が典型的な症状です。進行が比較的速いタイプです。 ドライタイプ(非滲出型): 内臓に肉芽腫が形成されます。症状は影響を受ける臓器によって異なり、目の炎症(ぶどう膜炎)神経症状(ふらつき・発作)肝臓や腎臓の腫大などが見られます。診断が難しく進行もゆっくりです。 共通症状として持続する発熱(抗生物質に反応しない)・体重減少・元気がないなどがあります。
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FIPの原因と感染経路

FIPは猫コロナウイルス(FCoV)が体内で変異して発症します。猫コロナウイルス自体は多くの猫が感染しており(多頭飼い環境では80〜90%)、通常は軽い下痢で済みます。しかし約5〜10%の猫で、ウイルスが変異してFIPを引き起こします。 感染経路: 主に糞便を介して感染します。トイレの共有がリスク要因です。 なりやすい猫: 2歳未満の若い猫、純血種、多頭飼い環境、ストレスの多い環境の猫。

最新治療:GS-441524とモルヌピラビル

GS-441524: レムデシビルの代謝物で、FIPウイルスのRNA複製を阻害します。84日間の経口投与で寛解率80%以上という報告があります。日本では動物用医薬品としての承認が進められています。 モルヌピラビル: 人間のCOVID-19治療薬として知られていますが、FIPにも効果が報告されています。GS-441524より安価な選択肢として注目されています。 治療費: 84日間で20〜80万円程度が目安です(猫の体重・薬の種類により変動)。費用面でのハードルは高いですが、かつての「治療法なし」からは大きな進歩です。

予防と早期発見のポイント

FIPの発症を完全に予防する方法は現在ありませんが、リスクを下げることは可能です。 - トイレを清潔に保つ(猫の頭数+1個、毎日掃除) - 多頭飼いの密度を避ける - ストレスを減らす猫のストレスサインを見逃さない) - 若い猫の体調変化に注意(持続する微熱・食欲低下) 早期発見には定期的な健康チェックが最も有効です。CatsMeアプリで日々の体調を記録し、変化を早めにキャッチしましょう。

FIPの早期発見:見逃しやすい警告サイン

FIPの初期症状は非常に曖昧で、他の多くの疾患と重なるため見逃されやすいです。 最も早い段階で現れるサイン: - 持続する微熱(39.5℃以上が数日続く):通常の解熱薬で下がりにくい - なんとなく元気がない:遊ばなくなった、高い場所に登らなくなった - 食欲の緩やかな低下:完全に食べなくなるのではなく、食べる量が少しずつ減る - 体重が増えない(特に子猫) ウェットタイプの早期兆候: お腹が徐々に膨らんでくる。「太った?」と思ったらFIPの腹水の可能性も。 ドライタイプの早期兆候: 目の色が変わる(ぶどう膜炎)、ふらつき(神経症状)。 若い猫(特に2歳未満)で原因不明の発熱が3日以上続く場合は、FIPの可能性を考えて獣医師に相談してください。猫に元気がない状態が続くのも重要なサインです。

FIPの治療費と治療期間の現実

FIPの治療は効果が高い一方で、費用面と時間面の負担が大きいのが現実です。治療を検討する飼い主が知っておくべき情報をまとめます。 治療期間: 標準的な抗ウイルス薬治療は84日間(12週間)。途中で中断すると再発リスクが高まります。 費用の内訳: - 薬代: 月5〜20万円(猫の体重と薬の種類による) - 定期血液検査: 月5,000〜10,000円 - 初期検査(確定診断): 20,000〜50,000円 - 合計: 20〜80万円が現実的な範囲 治療中のモニタリング: - 2週間ごとの血液検査(グロブリン値・A/G比の改善確認) - 体重と食欲の記録 - ウェットタイプは腹水の減少を確認 治療後の経過観察: 84日間の治療終了後も3ヶ月間の経過観察が必要。この期間に再発がなければ寛解と判断されます。 費用面でお困りの場合は、ペット保険の適用確認や、FIP治療のクラウドファンディングなども検討の選択肢です。

FIPと診断された猫との暮らし方

FIPの治療中は、猫の快適さと薬の確実な投与が最優先事項です。 投薬のコツ: - 経口薬は毎日同じ時間に投与(12時間間隔が理想) - 苦い薬を嫌がる場合は、カプセルに入れるかピルポケットを使用 - 投薬後のご褒美で正の強化を 栄養管理: - 高カロリー・高タンパクの食事で体重回復を促進 - 食欲が低い場合はウェットフードを少し温めて香りを強くする - 猫の食事ガイドも参考に ストレス軽減: - 静かで安全な休息スペースを確保 - 多頭飼いの場合、治療中の猫がリラックスできる専用スペースを - 猫のストレスサインに注意 多頭飼いの注意点: FIPそのものは直接うつりませんが、原因となる猫コロナウイルス(FCoV)は感染します。同居猫のストレス軽減とトイレの衛生管理を徹底してください。 CatsMeアプリで毎日の体重・食欲・薬の投与記録をつけると、獣医師との共有がスムーズです。
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よくある質問

参考文献・出典

本記事は以下の獣医学団体・大学・公的マニュアルの公開情報をもとに、Carelogy編集部が要約・整理しています。

  1. American Association of Feline Practitioners (AAFP). AAFP Position Statement on FIP Treatment (2024).
  2. UC Davis Veterinary Medicine — Center for Companion Animal Health. FIP Research and Treatment Updates (Pedersen Lab) (2024).
  3. Cornell Feline Health Center. Feline Infectious Peritonitis (FIP) — Feline Health Topics (2023).
  4. Pedersen NC, et al. (Journal of Feline Medicine and Surgery). Efficacy and safety of GS-441524 in the treatment of cats with naturally occurring FIP (2019).
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