結論:肥満猫が3日以上食べないと命に関わる
猫の肝リピドーシス(脂肪肝)は肥満猫が何らかの理由で食べなくなった時に急速に発症する、猫特有の危険な肝臓病です。体に蓄えた脂肪が一気に肝臓に動員され、肝細胞が脂肪で埋め尽くされて機能不全に陥ります。
肥満猫が3日以上食べない場合は緊急で受診してください。治療が遅れると致死率が高い一方、適切な栄養サポートを行えば回復率は80%以上です。
症状と黄疸の見分け方
治療:栄養サポートが最も重要
肝リピドーシスの治療の核心は十分なカロリーを確保することです。
入院治療:
- 点滴(脱水・電解質補正)
- 制吐薬
- 経鼻食道チューブまたは食道瘻チューブの設置: 最も効果的な栄養供給法。チューブを通して液状フードを注入
チューブフィーディング:
- 1日のカロリー必要量を4〜6回に分けて注入
- 高タンパク・高カロリーの流動食(ロイヤルカナンリキッドなど)
- 期間: 2〜6週間が標準。自発的に食べ始めるまで継続
補助療法:
- L-カルニチン: 脂肪代謝を促進
- SAMe(S-アデノシルメチオニン): 肝細胞の保護
- ビタミンB群・ビタミンK補充
予防:肥満猫の食事管理が鍵
肝リピドーシスの最大の予防策は猫を太らせないこと、そして急激な食事制限をしないことです。
ダイエットの正しい方法:
- 獣医師の指導のもと、週に体重の1〜2%の減量ペースで
- 絶対に「食べなくなるまで減らす」ことをしない
- 猫の肥満対策を参考に、無理のない減量計画を
食べない原因の早期対処:
- ストレス(引っ越し・新しいペット)で食べなくなった場合も、3日を目安に受診
- 高嗜好性のフード・ウェットフードを温めて香りを強くするなど工夫を
肝リピドーシスの検査と診断費用
肝リピドーシスの診断には複数の検査を組み合わせます。
血液検査: 5,000〜15,000円。肝酵素(ALP・ALT・GGT)の著明な上昇、ビリルビン値上昇(黄疸の原因)、低アルブミン血症を確認。ALPの上昇が特に顕著なのが猫の肝リピドーシスの特徴です。
腹部超音波: 5,000〜10,000円。肝臓が脂肪で白く(高エコー)なっている所見を確認。
肝臓の細針吸引(FNA): 5,000〜10,000円。超音波ガイド下で肝臓の細胞を採取し、脂肪の蓄積を直接確認。確定診断に最も有用。
凝固検査: 3,000〜5,000円。肝機能低下による凝固障害の評価。チューブ設置前に必須。
初期診断+入院治療の合計: 50,000〜200,000円が目安。チューブ設置とフィーディングの管理期間により変動します。
費用は高額に感じるかもしれませんが、適切な治療での回復率は80%以上です。早期受診が費用面でも予後面でも最善の選択です。
自宅でのチューブフィーディング管理ガイド
肝リピドーシスの治療では、退院後も自宅でのチューブフィーディングが数週間必要になることが多いです。
チューブの種類:
- 経鼻食道チューブ: 短期使用(数日〜1週間)。液体食のみ対応
- 食道瘻チューブ(Eチューブ): 長期使用に最適。ブレンドした療法食を注入可能
フィーディングの手順:
1. 処方された液体食を体温程度に温める
2. チューブに少量の水を通して開通確認
3. シリンジでゆっくり注入(1回5〜10分かけて)
4. 注入後、チューブを水で洗い流す
5. 1日のカロリー必要量を4〜6回に分けて投与
注意点:
- 急速な注入は嘔吐の原因。ゆっくり行う
- チューブ周囲の皮膚を毎日清潔に保つ
- 猫がチューブを引き抜かないようエリザベスカラーを装着
回復のサイン: 自発的に食べ始めたら、徐々にチューブからの量を減らし、自力摂取を増やします。完全に自力で必要カロリーを摂取できたらチューブ抜去。
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肝リピドーシスからの回復と長期ケア
肝リピドーシスからの回復は可能ですが、再発予防と長期的な健康管理が重要です。
回復の典型的なタイムライン:
- 1〜2週目: 点滴とチューブフィーディングで安定化
- 2〜4週目: 食欲が徐々に回復。一部の猫は自力で食べ始める
- 4〜6週目: 多くの猫がチューブ卒業。肝臓値の改善を確認
- 2〜3ヶ月: 完全回復。血液検査の正常化
回復を促すポイント:
- 食欲刺激薬(ミルタザピン)の使用を獣医師と相談
- 高品質・高嗜好性のウェットフードを複数種類用意
- ストレスのない静かな環境での食事
- 猫の食事ガイドを参考にした適切な栄養管理
再発予防:
- 安全なダイエット: 獣医師の指導のもと、週に体重の1〜2%以下のペースで
- 食欲低下の早期対応: どんな理由であれ2日以上食べない場合は受診
- 定期健診: 回復後も3〜6ヶ月ごとの肝臓値チェック
- [肥満予防](/ja/columns/cat-obesity): 適正体重の維持が最大の予防策
肝リピドーシスを経験した猫の多くは、回復後は以前と変わらない健康な生活を送ることができます。
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