結論:猫の膵炎は「何となく元気がない」が唯一のサインのことも
猫の膵炎は犬と違って嘔吐や腹痛が明確に出ないことが多く、「なんとなく食欲がない」「いつもよりおとなしい」程度の曖昧な症状だけのケースが珍しくありません。そのため発見が遅れやすい疾患です。
中高齢の猫で[食欲不振](/ja/columns/cat-loss-of-appetite)が3日以上続く場合は膵炎も疑い、血液検査を受けることをおすすめします。膵炎は炎症性腸疾患(IBD)や胆管肝炎と同時に起こる「三臓器炎」の一部であることも多いです。
猫の膵炎の症状
診断方法
fPLI / Spec fPL検査: 猫膵リパーゼ特異的な血液検査。膵炎診断の第一選択。感度・特異度とも高い。
腹部超音波検査: 膵臓の腫大・周囲の脂肪壊死を確認。ただし猫の膵臓は小さく、軽度の膵炎では見つけにくい。
一般血液検査: 白血球増加、肝酵素上昇(胆管肝炎の併発チェック)。
重要: 従来のリパーゼ・アミラーゼ検査は猫の膵炎には感度が低く、正常値でも膵炎を否定できません。fPLI検査が決め手です。
治療と食事管理
急性期の治療:
- 積極的な輸液療法(脱水補正・膵臓の血流維持)
- 制吐薬(マロピタントなど)
- 鎮痛薬(ブプレノルフィンなど。猫は痛みを隠すので積極的に使う)
- 早期の栄養補給(以前は絶食が推奨されたが、現在は早期給餌が標準)
慢性膵炎の管理:
- 低脂肪・高消化性のフード
- ビタミンB12補充(慢性膵炎で吸収障害が起こる)
- 併発する IBD や胆管肝炎の同時治療
再発予防には猫の食事ガイドを参考に、消化に負担の少ない食事を心がけてください。
膵炎の検査費用と診断の注意点
膵炎の診断は猫では特に難しく、複数の検査を組み合わせて総合的に判断します。
fPLI / Spec fPL検査: 5,000〜10,000円。猫膵特異的リパーゼを測定。感度・特異度とも高く、膵炎診断の決め手。外注検査のため結果まで1〜3日かかることも。
一般血液検査: 5,000〜15,000円。白血球増加、肝酵素上昇(三臓器炎のチェック)、低アルブミン血症などを確認。
腹部超音波検査: 5,000〜10,000円。膵臓の腫大・周囲の脂肪壊死を確認。ただし軽度の膵炎では超音波で異常が見えないことも多い。
重要な注意点: 従来のリパーゼ・アミラーゼは猫の膵炎には信頼性が低い。正常値でも膵炎を否定できません。fPLI検査が必須です。
初回診断の合計: 15,000〜35,000円程度。重症例で入院が必要な場合は50,000〜150,000円程度の追加費用が発生します。
Carelogyのオンライン獣医師相談で検査結果の解説を受けることもできます。
三臓器炎(トライアディティス)の理解と管理
猫の膵炎を語る上で欠かせないのが三臓器炎(トライアディティス)です。膵炎・炎症性腸疾患(IBD)・胆管肝炎が同時に発症する状態で、猫特有の疾患群です。
なぜ3つの臓器が同時に侵されるのか: 猫の解剖学的特徴として、膵管と胆管が共通の開口部で十二指腸に合流するため、一方の炎症が他の臓器に波及しやすいのです。
三臓器炎の症状:
- 慢性的な嘔吐・下痢(IBDの症状)
- 食欲不振・体重減少(膵炎の症状)
- 黄疸(胆管肝炎の症状)
- 元気がない状態が長期間続く
治療のアプローチ: 3つの臓器を総合的に治療する必要があります。消化器サポート食、ステロイド(IBD)、抗菌薬(胆管肝炎)、鎮痛薬(膵炎)の組み合わせが一般的。ビタミンB12補充も重要です。
長期管理のポイント: 定期的な血液検査と超音波検査で3つの臓器の状態を継続的にモニタリング。食事療法の一貫性と投薬の遵守が再発予防の鍵です。
膵炎の猫との暮らし:再発予防と日常管理
膵炎は再発しやすい疾患です。日々の管理で再発リスクを最小限に抑えましょう。
食事管理(最重要):
- 低脂肪・高消化性のフードを一貫して与える
- フードの急な切り替えは避ける(7〜10日かけて徐々に)
- 人間の食べ物は絶対に与えない(特に高脂肪の食品)
- 猫の食事ガイドを参考に適切なフードを選択
ストレス管理:
- 環境変化を最小限に
- 多頭飼いの場合はリソース(トイレ・食事場所)を分散
- 猫のストレスサインに注意
定期検査スケジュール:
- 3〜6ヶ月ごとの血液検査(fPLI・肝酵素)
- 年1回の腹部超音波
- 体重の月1回測定
再発の早期サイン:
- 食欲のわずかな低下
- いつもより静かで動かない
- 軽い嘔吐の増加
これらのサインに気づいたら早めに獣医師に相談。CatsMeアプリで日々の食欲・活動量を記録しておくと、微妙な変化を客観的に捉えることができます。
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